妖怪が刻まれた事典 妖怪が集う遊宴  はてなの虹
火を貸せ (ひをかせ)

 愛知県に伝わる怪異。

 

   59 亀淵の河小僧(北設楽郡)
 三輪みわ村と長岡と川合かわいの境に亀淵という淵がある。大力の鬼久右衛門という人が夜長岡の池場から川合へ来る途中、自分の前をカブロツコ・・・・・(髪型禿児?)の女の子が行き、亀淵まで来ると、その女の子は振りむいて「火をかせ」といった。久右衛門はこの亀淵には河小僧が出るときいていたので、この河小僧めと、煙管の雁首で女の子の頭を打つと同時に気を失ってしまった。夜が明けてから生がついて川合村へかえって来たそうだ。その子はこの亀淵の主だそうで、その頃この淵の深さを測ろうと鉈を縄に縛りつけ沈めた人かあったが、その人は間もなく谷へ墜ちて死んだそうだ。

『愛知県伝説集』 愛知県教育会 郷土研究社 1937

 

ヒヲカセ 火を貸せという路の怪が出る場処が、三河の北設楽郡にはある。昔鬼久左という大力の男が夜路を行くと、さきへ行くおかっぱの女の童がふりかえって火を貸せといった。煙管を揮って打据えようとして却って自分が気絶してしまった。淵の神の子であったろうという(愛知県伝説集)。或はこれとは反対に、夜分人が通ると提灯のような火が出て送って来るというような所もあった。或村の古榎の木の下まで来ると消える。それでその古木を伐ってしまったら出なくなったという(同上)。

「妖怪名彙」 柳田國男 1938・1939

参考文献

本妖怪事典』 村上健司 毎日新聞社 2000

 

引用文献の底本

本 『愛知県伝説集』 愛知県教育会 郷土研究社 1937
本妖怪談義 (現代選書)』 柳田國男 修道社 1956
本妖怪談義 (講談社学術文庫)』 柳田國男 講談社 1977

 


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