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蓑虫 (みのむし)

 秋田県、新潟県、福井県に伝わる妖怪。

 

   38 鼬の話
(前略)
 小雨そぼ降る晩に限るという。着ている蓑の一端に蛍火のようなものが着く。払い落せば落す程燃えひろがり、遂に全身を包んでしまうが、熱くない。これが「みのむし」といって、鼬の仕業である。
(後略)
(話者 田鹿八郎治 採録者 小川喜代臣)

『新潟県西頸城郡郷土誌稿 第二輯 口碑伝説篇 第二冊』 西頸城郡教育会 1937

* * *

ミノムシ 越後では評判の路の怪で或は鼬のしわざともいう。小雨の降る晩などに火が現われて蓑の端にくっつき、払えば払うほど全身を包む。但し熱くはないという(西頸城郡郷土史稿二)。信濃川の流域にはこの話が多く。或はミノボシともいう。大人数であるいて居ても一人だけにこの事があり、他の者の眼には見えない(井上氏妖怪学四七九頁)雨の滴が火の子のように見えるのだともいう(三條南郷談)。越前坂井郡でも雨の晩に野路を行くとき、笠の雫の大きいのが正面に垂れ下り、手で払おうとすると脇へのき、やがて又大きい水玉が下り、次第に数を増して眼をくらます。狸のしわざといい、大工と石屋とにはつかぬというのが珍らしい(南越民俗二)。秋田県の仙北地方で蓑蟲というのは、寒い晴れた日の早天に、蓑や被り物の端についてきらきら光るもので幾ら払っても尽きないというから、これは火では無い(旅と伝説七巻五号)。利根川図誌に印旛沼のカワボタルといって居るのは、これは夜中に出るので火に見えた。これも越後のミノムシと同じものだろうといって居る。

「妖怪名彙」 柳田國男 1938・1939

参考文献

本 『妖怪事典』 村上健司 毎日新聞社 2000

 

引用文献の底本

本 『新潟県西頸城郡郷土誌稿 第二輯 口碑伝説篇 第二冊』 西頸城郡教育会 1937
本 『妖怪談義 (現代選書)』 柳田國男 修道社 1956
本 『妖怪談義 (講談社学術文庫)』 柳田國男 講談社 1977

 


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